めまい
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めまいとは

めまいとは、自分や周囲がぐるぐる回っているように感じたり、ふわふわと浮いているような感覚が現れる症状のことです。日常生活の中で突然起こることがあり、多くの方が経験しますが、その原因や種類は非常に多岐にわたります。
めまいは、「よくあること」と見過ごされがちですが、その陰に重大な病気が隠れている可能性もあります。
こんな症状ございませんか?
- 急に周りがぐるぐる回っているように感じ、立っていられなくなることがある。
- 立ち上がったときにふらふらして倒れそうになることがある。
- 頭を動かすと、ふわっと浮いているような感覚に襲われる。
- めまいとともに耳鳴りや難聴を感じることがある。
- 朝起きたときや夜寝る前に、特にめまいがひどくなることがある。
めまいの原因
めまいの原因は、体のバランスを保つための情報処理に何らかの問題が生じた場合に起こります。私たちの平衡感覚は、視覚、耳(三半規管や内耳)、そして体(首や足からの感覚)からの情報を小脳が統合することで維持されています。この連携がうまく機能しないと、めまいやふらつきといった症状が現れます。
中枢性めまいと末梢性めまい

- 中枢性めまい
(ふわふわとした感覚のめまい) - 小脳や脳幹といった中枢神経系に障害が起きることで発生します。脳梗塞や脳出血、腫瘍、血流不足などが原因となることが多く、浮動性めまい(ふわふわとした感覚)を引き起こすことがあります。中枢性めまいは症状が重篤な場合が多く、早期の診断と治療が重要です。

- 末梢性めまい
(周囲がぐるぐる回る感覚のめまい) - 三半規管や内耳といった平衡感覚をつかさどる末梢の機能に問題が生じることで発生します。良性発作性頭位めまいやメニエール病、前庭神経炎などがこれに該当し、回転性めまい(周囲がぐるぐる回る感覚)を伴うことが多いです。末梢性めまいは頻度が高い一方で、中枢性めまいに比べて命に関わるケースは少ないとされています。
めまいの種類

回転性めまい
回転性めまいとは、天井や周囲がぐるぐると回っているように感じたり、視界が流れるような感覚を伴うめまいの一種です。この症状は、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、多くの場合、吐き気や嘔吐を伴い、患者さまにとって非常に不快なものとなります。
回転性めまいの原因は、主に平衡感覚を司る内耳や神経系の異常に関連しています。耳の奥には、側頭骨に包まれた三半規管という器官があり、この三半規管は頭や体の動きを感知してバランスを保つ役割を果たしています。三半規管が正常に機能しなくなると、誤ったバランス情報が脳に伝わり、回転性めまいが引き起こされます。
良性発作性頭位めまい
頭を特定の方向に動かしたときに起こる回転性めまいで、急性めまいの中で最も一般的です。原因は内耳の耳石が三半規管に迷い込むこととされ、じっとしていると症状が治まるのが特徴です。
メニエール病
回転性めまいを繰り返す病気で、片側の聴力低下、耳鳴り、耳の詰まった感じを伴うのが特徴です。めまいの発作は通常10分から数時間続き、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
前庭神経炎
風邪を引いた後1~2週間ほどしてから強い回転性めまいが現れる病気です。原因として、ウイルス感染や血流障害、アレルギーが考えられます。めまい自体は数日で改善することが多いですが、ふらつきが数週間以上続く場合があります。
突発性難聴
突発性難聴は、突然片耳が聞こえなくなるのが特徴の病気です。原因として、過労やストレスをきっかけにしたウイルス感染や内耳の血流障害が考えられます。めまいを伴うこともありますが、症状が軽い場合もあります。
聴神経腫瘍
難聴やめまいが初期症状として現れることがあります。症状が突発性難聴と似ているため、診断にはMRI検査が重要です。
小脳や脳幹の脳卒中(脳梗塞や脳出血)
脳血管の異常によって発生します。脳梗塞は血管が詰まり脳の組織が破壊される状態、脳出血は血管が破れて出血する状態を指します。この部位で脳卒中が起きると、めまいに加え、手足のしびれ、ろれつが回らない、頭痛などの神経症状が現れることが多いです。
前庭神経の圧迫(前庭性発作症)
難治性めまいの原因の一つです。動脈硬化によって蛇行した脳血管が前庭神経を圧迫し、耳鳴りや短時間(1秒~1分以内)のめまい発作を繰り返します。歩行中に発作が起こると、不安定感を強く感じるのが特徴です。
他に、難聴を伴うものとして、慢性中耳炎、内耳炎、外リンパ瘻などが知られています。

浮動性めまい
浮動性めまいは、回転性めまいとは異なり、揺れるような感覚やふわふわ、ふらふらした不安定感を伴うタイプのめまいです。この症状は、小脳や脳幹の異常が原因で起こることが多く、脳卒中(脳梗塞や脳出血)や脳腫瘍といった重大な病気が背景にある場合があります。
また、回転性めまいを引き起こした原因が治まった後の回復期に、浮動性めまいが残ることも少なくありません。この状態では、平衡感覚が完全には回復しておらず、揺れるような感覚が続くことがあります。
小脳や脳幹の脳腫瘍
めまいやふらつきが初期症状として現れることがあります。さらに、頭痛や吐き気、顔の違和感、言葉が出にくいといった症状を伴うことがあり、日常生活に大きな影響を及ぼす場合があります。
小脳の変性疾患
高年で慢性的なふらつきが続く場合に疑われる病気です。特徴として、めまい薬が効果を示さないことや、小脳性の失調症状(体の動きがぎこちなくなるなど)を伴うことがあります。主な疾患として、脊髄小脳変性症や多系統萎縮症があり、MRI検査で小脳や脳幹に異常が確認されることがあります。
椎骨脳底動脈循環不全
椎骨動脈や脳底動脈といった脳幹や小脳に血液を供給する血管の血流が悪くなる状態を指します。特徴的な症状として、急に振り向いたり、上や下を向く動作がきっかけで起こるめまいがあります。めまいは、回転性の場合もあれば浮動性の場合もあり、目の前が暗くなることもあります。 この状態は、動脈硬化や頚椎の変形が強い方で起こりやすく、特に首の動きが血流に影響を与えるとされています。

立ち眩み
立ち眩みは、広義のめまいの一種で、目の前が暗くなる、気が遠くなるような感覚を伴い、立っていることが難しくなる症状です。主に脳への血流が一時的に不足することで発生しますが、原因はさまざまです。重症の場合には、一時的に意識を失う(失神)こともあります。
神経調節性失神
失神の中で最も多いタイプで、迷走神経が過剰に働くことで血圧が急低下し、脳への血流が不足して意識を失う状態です。排尿後や飲酒後に起こりやすく、排尿失神とも呼ばれます。
低血圧
最高血圧が100mmHg未満の場合に、脳への血流が不足してクラクラとするめまいを引き起こすことがあります。若い女性に多い一方、加齢による心機能低下や筋力の衰え、貧血や甲状腺機能低下も原因となることがあります。
起立性低血圧
横になったり座った状態から急に立ち上がると、血圧が低下して脳への血流が一時的に減少し、クラクラとするめまいが起こる状態です。原因として、降圧剤の使用や、パーキンソン病、糖尿病、アルコール依存による神経障害が挙げられます。
不整脈
一部では、血圧が十分に維持できず、脳への血流が減少して立ち眩みやめまいを引き起こすことがあります。その他の心疾患や大血管の病気でも同様の症状がみられる場合があります。
その他のめまい
頚性めまい
首のこりが原因で起こるめまいです。首筋の筋肉は、頭や脳を支えるだけでなく、頭の位置や傾きの情報を脳に伝える役割を果たしています。首の筋肉が強くこると、この情報が正しく伝わらず、めまいやふらつきを引き起こすことがあります。
心因性めまい
明確な原因が特定できないめまいの一つで、ストレスや自律神経の乱れが内耳や脳に影響を与えて発症すると考えられています。めまい以外に、耳鳴り、頭痛、肩こり、不眠、冷や汗などを伴うことがあります。治療にはストレスの軽減が重要です。
うつ状態とめまい
ふわふわ感やめまいを感じることがあります。特に、精神的な症状を自覚していない場合でも、うつが身体の不調として現れる仮面うつが原因となっていることがあります。このような場合、身体症状としてのめまいが目立つのが特徴です。
前庭性片頭痛
片頭痛持ちの方にめまいが起こりやすい疾患です。めまいと頭痛が同時に起こるとは限らず、めまいの前後に頭痛が現れる場合があります。片頭痛と関連するめまいが繰り返される場合、片頭痛予防薬が有効です。
持続性知覚性頭位誘発めまい(PPPD)
近年注目されている疾患で、ふわふわ感や不安定感が数ヶ月以上にわたりほぼ毎日続くのが特徴です。症状は、立位や歩行、視覚的刺激(映像や乗り物など)によって悪化し、特に昼から夕方にかけて強くなることがあります。治療には前庭リハビリや抗うつ剤が効果的とされています。
加齢とめまい
高齢になると、内耳や前庭神経、大脳皮質など平衡感覚に関与する組織の機能が衰え、バランスが取りにくくなることがあります。また、自律神経の機能低下により血圧調節が難しくなり、急な動作で脳血流が不安定になることも一因です。さらに、高血圧や糖尿病、動脈硬化の進行も、めまいを引き起こしやすくします。
薬剤性めまい
一部の薬の副作用として浮動性めまいが現れることがあります。特に、神経や精神に作用する薬、降圧剤、抗生物質などで起こりやすいとされています。場合によっては、市販薬でも症状が出ることがあります。
その他のめまい、ふらつきの原因として、
貧血、更年期障害、てんかん、熱中症、気象病、脳脊髄液減少症、代謝疾患( 糖尿病,甲状腺機能異常)などがあります。
めまいの治療

原因を見極める
めまいの治療で大切なことは、局所的な原因だけに注目せず、全体的な視点で原因を見極めることです。めまいやふらつきは、多くの要因が絡み合って発生するため、原因を特定して適切な治療を行うことが重要です。
治療を受けても症状が改善しない場合は、総合的に診断・判断できる専門医に相談することをおすすめします。当院では、めまいの根本的な原因を追究し、個々の患者さまに合わせた治療を提供しています。

適切な薬の使い分け
めまいの原因に応じた適切な薬の使い分けが、治療の鍵となります。特に、聴力低下を伴わないめまいには、一般的に「抗めまい薬」が用いられます。代表的な薬には、アデホス(アデノシン三リン酸二ナトリウム)、メリスロン(ベタヒスチン)、セファドール(ジフェニドール)などがあり、これらは三半規管や内耳に作用します。
しかし、めまいの原因は多岐にわたるため、抗めまい薬だけでは改善が難しい場合もあります。その際には、漢方薬や他の治療薬を組み合わせることが有効です。
例として、下記のような薬を症状に応じて使い分けます
- 脳循環代謝改善薬
- 抗ヒスタミン薬
- 自律神経失調症治療薬
- 抗不安薬・抗うつ薬
- 筋弛緩薬
- 昇圧薬
さらに、回転性めまいが特に強い場合には、注射治療が有効です。めまいがひどく動けない場合もありますが、受診が可能な場合は注射による迅速な治療を検討することで、症状の改善が期待できます。 当院では、めまいの背景にあるさまざまな要因を考慮し、個別に最適な治療法をご提案しています。

めまいに負けない体を作る
めまいに負けない体を作るために、再発予防や早期回復を目指した取り組みが重要です。めまいの患者さまが最も不安を感じるのは、めまい発作の再発です。症状がひどい時は動けないこともありますが、少し改善して動けるようになったら、再発を防ぐためにも、平衡機能訓練や前庭リハビリを行うことが効果的です。 これらのリハビリは、バランスを保つ機能を鍛え、体の回復を助けるだけでなく、再び発作が起こるリスクを減らすための大切なステップです。